こどもの頃の記憶③

 兄だ。


兄が起きてくるのは、(正確には自分の部屋から出てくるのが)
8時過ぎだ。


兄と父が顔を合わす。


父「・・・おはようは?」


兄「・・・・」めちゃくちゃ不機嫌な顔


父「・・・・オイ!!!」キレてる顔


父はあからさまに機嫌が悪くなって、タバコをふかすのが早くなる。
感情がもろ顔にでる。


たまに、この後、怒鳴り合いになることもある。
それは、3~4日に1度の頻度で、小学生だった自分にとって
父に似た体格の兄は、私から見たら大男だった。


朝から大男二人が、目の前で怒鳴り合うのである。
始まったときは、自分は空気になったつもりでその場を離れ、
なるべく早く外に出る。


ほんとに事件に発展しかねない勢いの怒鳴り合いに思っていたので、
父と兄が喧嘩して悲しい、とかではなく、
今日は何かが起こってしまうのではないか、という恐怖で心臓が絞られていた。


毎朝、8時すぎたら、なるべく急いで外に出る。
平和な時間をすごしたままの状態で、学校に行きたい。そう思っていた。


どうか、兄が部屋からまだ出てきませんように。


どうか、怒鳴り合いが始まりませんように。


どうか、何も起こりませんように。



父が起きてきてから、家を出るまでの間、毎朝がロシアンルーレットみたいだった。

×

非ログインユーザーとして返信する